2015年10月3日土曜日

沖縄遠征特別篇 ~金箔の妖精・聖なる輝き~ 後編

前編終了後、滞在期間の短いSの行きたいところへ着いていくというありがたいお言葉をかけていただき、Sは新たなイモリを求めて宿を発つ。目的地周辺、航空写真で見た田んぼと思ったものがほとんどサトウキビ畑であり絶望した!と思ったが近くに川があったので邪魔にならなさそうなとこへ車を停め、せっかくなので川でガサガサ。するとみるみるうちに地元の小学生が集まって釣りを始めていた。流れのない水たまりには、
ミツボシゴマハゼ
体長1センチほどの小型のハゼで、ゆらゆら浮いていた。
続いて、川底の石を動かすと、黒い影が慌ててコンクリートの隙間へ!
どうやら隙間は行き止まりらしく、黒っぽい魚を指でつついていると...
I氏「これカワアナゴじゃないですか?」
S「あ、この背中の模様は...」→網に魚が入ると...!!
S、I氏「おおおおカワアナゴだああ!」

 
 
テッテレー!この模様!カワアナゴじゃないっすか!とカワアナゴ初採集に喜ぶS。しかしこの後、H「石ひっくり返すとたくさんいる」との発言によりさらに期待を高めて採集を続けると...

さらなる個体が!あれ?でもなんか模様がさっきと違うぞ。カワアナゴは体色変化著しいと聞くから、そういうことなのかと思っていた。地元の小学生に名前を知ってるか聞いてみるも知らないとのこと。しかし、もっと上流に行けばたくさんいるらしい。カワアナゴ多産近かよおい!とか思っていたらI氏の調べによりどうもカワアナゴではなさそうな感じ。チチブモドキ説濃厚となった。いやあ、でもいい魚を見れた。
さらに採集を続けると素早くて捕まえられなかったが、ティラピアの一種やトビハゼがいた。
オキナワフグ(下)とナガノゴリ(上)



ナガノゴリの子どもやチチブモドキの子どもも数匹捕れた
 
こんな感じでこの川を後にした。地元の小学生の「水たまりでタウナギ釣りました。」の発言には心躍った。沖縄のタウナギは固有種らしいということで移入され外来種とされている本州のものとは種が違うのではって言われてるのにも心躍るよね。
 
この後、某キャンプ場の滝にシリケンイモリがいるという情報をあらかじめ調べておいたSが意気揚々と車を運転させるも、なんとキャンプ場は入場料が発生することが発覚!ちょっと興冷めしたので、キャンプ場の横の川に入った。しかし雨が降ってきたのであえなく撤退、運が悪い。
 
小雨降りしきる中、山のふもとの水辺や側溝を探すも、イモリ一匹見つからなかった。
グーグルマップで再び田んぼと思った場所へ車を走らせるも、サトウキビ畑かパイナップル畑。おーい沖縄...思わぬところで予想の斜め上を行くところ嫌いじゃないよ
次第に雨も止んだ。
 
日は落ちる
 
オキマル流し兼イモリ探しをするもよさげな側溝はあるが、イモリはいない。悲しいな。
H氏、N氏の運転でダム巡りなどをした。まあ、ほかの部員は虫を探しているからね。一つ目。イモリなし。ヤモリあり。
二つ目。イモリなし。
三つ目...ハグルマヤママユはいたよ...
四つ目...Sにとってはラストチャンスではあるが、睡魔にも襲われ個人的に若干の諦めムード。少し湿った側溝を除くと、水が溜まっているわけでは無かった。なんだ枯草か...と見逃しかけたその時!ん!今動いたよな!よもや!

背中前面ではないがかなり金箔の出た個体
 
男は背中で語るって言うけど、この子、雌なんだよね。
 
神様ありがとう。この日はこの一匹だけだった。
 

まぶしい背中
 
最後の最後のチャンスで金箔個体を手にした。これにてSの滞在期間はタイム・アップ。今回は滞在期間が短かったためイモリ一本に目的は絞ったが、次回はさらに美麗な個体もしくは色彩変異を、そしてさらに魚を狙ってまた行きたいものよ。沖縄...
 
 
 
p.s今回訪れたのは沖縄本島であるが、次回は奄美諸島のアマミシリケン狙ってもいいかも
 
 おわり
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


2015年10月2日金曜日

沖縄遠征特別篇 ~金箔の妖精・聖なる輝き~ 前編

 9月19日に沖縄入りしたSは「虫処」に在籍していながらも実は虫より魚(日本淡水魚)の方が好きである。大学構内で普通に見られるアカハライモリに恋したSを沖縄まで飛ばした理由、それは沖縄にしかいないシリケンイモリである。シリケンイモリとは、奄美諸島や沖縄諸島にしかいないイモリで、本州等にいるアカハライモリと違い、背中に金箔をまぶしたような模様が出る個体がある。模様の程度は個体によりさまざまである。今回はその金箔が背中一面に出ているような美麗種を捕りに行こうという目的だ。虫処は、虫以外の生き物が好きだとしても(Sは虫に興味がないわけではない、どちらかといえば魚の方というだけ)在籍可能であるし、活動していくこともできるのだ。

 ただ、集中講義の関係で静岡後発組は19日の夜に宿へ到着したものの、軽自動車1台に対し宿にいた部員を含め5人の搭乗者になってしまうので活動を翌日まで焦らした。

20日、愛するグーグルマップとにらめっこし、池や水辺をめぐる組と他のフィールドで採集する組と別れ、行動開始。


最初の小池に到着。水の色がオレンジに近い…いやでも小魚がたくさんいるし、森も近い、池に注ぐ用水路もある!釣具屋で購入した400円の小型タモ網と800円で購入した麦わらをかぶり捜索。
...ミズスマシみたいなのとティラピアっぽいのはいたがイモリの気配なし。

S、Y氏「場所変えるか」→I氏「あ、待ってください、ハンミョウが...あれ?どこ行った?(捜索)」→数分後、S,Y氏「...そろそろ行かない?」→I氏「(無言)」→S,Y氏「先車行ってるから」
採集中あるある。急かしてすまなかった、I氏よ。

その後、いったんビーチへ行き、別の水辺へ。


到着してみるも、三面コンクリ護岸の深さ2㍍くらい、幅1.7㍍ほどの水路にわずかに水が流れているだけ。...しかし水路のちょっとしたくぼみの水たまりなどにイモリはいるのではないかと水路へジャンプ!あったあった、落葉が溜まっているくぼみが!!近づくと何やらうごめく影。網を入れてみると...

オオヨシノボリ

一度のガサガサで捕れた



Wow!なんとヨシノボリがたくさんいる!胸鰭の模様からオオヨシノボリかな?
という感じ。コンクリートの川底にはほとんど砂や砂利はなく、ところどころに石がある程度。それらをひっくり返すとたいていヨシノボリが出てくる。なんなんだ沖縄!こんなコンクリの水路にまで魚影が濃いなんてポテンシャル高いな!!テンション上がるSとI氏。そして、石の下にイモリはいないかと捜索を続けると...

オオウナギの子ども
重なった石から細長いものが伸びている。S「あれ?オオウナギじゃね?笑」
I氏と共同戦線を張り捕らえたのはまさしくオオウナギ。日本人が食いまくっているニホンウナギとは違う種で、温暖な地域を好み琉球列島には数多く生息しているとされている。こんな簡単に見つかるとは...コンクリ三面護岸で水量ほとんどないのにオオウナギまでいるとは沖縄やはりポテンシャルが高い!
 さらに水路を下流へ向かって捜索を続けると砂防ダムらしきもので行き止まりとなってしまった。しかしその向こうにはなんといい感じの水辺が...だがダムは3㍍ほどの高さがあり、とてもじゃないが降りていけない。I氏が川から出ようとするも、高さ2㍍のコンクリの壁は足がかりはあるが滑って登れない。あれ?これやばくない?S、Y氏、I氏沖縄の人気のない水路で立ち往生。しかけたが壁の高さが低いとこを見つけ出しなんとか脱出。イモリは見つからず。

昼飯を食べようということになり、肉を食べたいという意見から、ステーキハウスへ。ランチセット頼んだらステーキハウスのくせにほとんど揚げ物じゃねーか!とランチセットを頼んだSとY氏は苦笑い。うまかったけど。その間I氏は「こういうときにお金を惜しまない」と突如グルメな人と化し、うまそうなステーキをほおばりご満悦。しかしあとから調べると沖縄は揚げ物も主食みたいな感じだからS,Y氏が口にしたのは「沖縄料理」ということにし自信を納得させた。
 
 Y氏が夜にオキマル流しをするというので、Sはそれに同行し林道脇の用水路でよさそうなポイントがあればイモリを探す流れになった。途中、マッ〇スバリュへ立ち寄り夕飯を購入。



かおりちゃんかわいいな。とほっこりした気分でいると!!マグロの口に!!アユが!!何やってんだこの店の人は...このアユは岐阜県産だった。沖縄...

 さて、日が暮れる前にY氏がオキマルポイントへ移動し、仮眠することになったが、Sはなんとなく落ち着かず林道の側溝捜索へ。この日、イモリのイの字もまだ見ていない。しかし側溝には土砂が溜まり、湿ってはいるものの水が溜まっているような場所はない。これは望み薄かと思いながらも石や倒木の裏側を探した。日は暮れかけあたりは薄暗い。ある倒木をひっくり返したときのこと。暗くてよくわからないが黒い何かが動いている。高まる鼓動。軍手越しにつかんだそれは、やわらかかった。
 
オキナワシリケンイモリ


キタキタキター!!ついに一匹目を見つけたよ!!背中にそんなに多くはないが金箔出てる!
この後オキマル流しを始め、ケナガネズミに会ったりしながら側溝の水たまりを探すと...
お!よさげなとこが!ライトで照らすとイモリがいる!タモ網ですくうとこの水たまりには計3匹のイモリがいて、うち1匹は背中にラインの走る個体!残りは腹がぶよぶよのおデブちゃんと中肉中背の特に特徴のない個体だった。
ラインのある個体
この日は結局これらのイモリ以外は見つけられず、(オキマルもボーズ)夜4時ごろ宿へ戻った。
イモリは見つかったものの金箔が背中前面に出た個体は見つけられなかった。
とりあえず寝た。後編へ続く。